「積水ハウス=最高の家」というイメージだけで契約し、間取りの細部を設計士任せにしてしまうと、引き渡し後に思わぬ落とし穴に気づくことがあります。特に積水ハウスは鉄骨・木造ともに設計自由度が高いがゆえに、施主のチェック漏れがそのまま「住みにくさ」として現れてしまうケースが少なくありません。
展示場のような広大な空間なら成立するデザインも、リアルサイズの住宅に詰め込むと無理が生じることがあります。実際に住んでいるオーナーの声から集めた「よくある失敗」を知り、図面段階で対策を打つことが、満足度の高い家づくりへの最短ルートです。
この記事でわかること
- 積水ハウス特有の「メーターモジュール」による広さ感覚のズレ
- 開放的なリビングや吹き抜けが招く温熱・音環境の悪化
- 流行りの回遊動線やピットリビングに潜むデメリット
- 後悔しないために図面確認時にチェックすべきポイント
規格と構造の罠!広さ感覚のズレによる失敗
積水ハウスの最大の特徴の一つに、設計の基準寸法(モジュール)があります。多くのハウスメーカーが91cm単位の「尺モジュール」を採用する中、積水ハウスは100cm単位の「メーターモジュール」を基本としています。この約9cmの差が、吉と出ることもあれば、凶と出ることもあります。まずは、この寸法マジックによる失敗事例を見ていきます。
廊下が広すぎて部屋が狭くなる
| 失敗内容 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 廊下が無駄に広い | メーターモジュール採用 | 廊下を極力減らす設計 |
| LDKが想定より狭い | 廊下に面積を取られた | 尺モジュールへの変更検討 |
メーターモジュールの家は、廊下の幅が約1m確保されるため、車椅子での移動や大型家具の搬入が非常にスムーズです。しかし、限られた延床面積の中で廊下幅を広く取るということは、必然的に居室(リビングや寝室)の面積が削られることを意味します。
「35坪の家なのに、リビングが思ったより狭い」と感じる原因の多くはこれです。廊下は単なる通路であり、滞在する場所ではありません。積水ハウスで建てる際は、廊下を極力なくし、リビングと各部屋を直結させるような間取りを意識することが、有効面積を確保するポイントになります。
トイレ・浴室が無駄に広くて落ち着かない
| 失敗内容 | デメリット | 対策 |
|---|---|---|
| トイレが広すぎる | トイレットペーパーが遠い | 手洗いカウンターの設置 |
| 浴室が広すぎる | 冬場に寒くなりやすい | 1618サイズ等の選択 |
トイレや浴室も基本的にはメーターモジュールで設計されるため、一般的な賃貸住宅や尺モジュールの戸建てに比べて一回り広くなります。「広くて快適」と感じる一方で、「トイレが広すぎて落ち着かない」「座ったままトイレットペーパーホルダーに手が届きにくい」といった声も聞かれます。
また、浴室の洗い場が必要以上に広くなると、冬場の冷気が溜まりやすくなり、ヒートショックのリスクや暖房効率の低下につながります。広さは贅沢ですが、適正サイズを超えると使い勝手が悪くなる典型例です。手洗い器や収納棚を設置して空間を埋めるなどの工夫が求められます。
想定外の柱や壁の出っ張り(PS)
鉄骨住宅(イズ・シリーズなど)の場合、構造を支える太い柱が部屋の隅や窓際に出っ張ることがあります。図面上では小さな四角に見えても、実際に家具を置こうとすると「この柱のせいでソファが壁に寄せられない」「カーテンレールと干渉する」といった問題が発生します。
また、2階の水回りの配管を通すパイプスペース(PS)が、1階のリビングや収納内に出っ張りとして現れることもあります。図面確認の際は、部屋の角や収納内部の形状を立体的にイメージし、家具配置に支障がないかを入念に確認することが不可欠です。
快適性を損なう?開放感の裏返しによる失敗

積水ハウスの強みである「大空間・大開口」は、多くの施主が憧れる要素です。しかし、プライバシーや温熱環境への配慮を欠いたまま開放感だけを追求すると、住み始めてから大きなストレスを抱えることになります。「見せる」ことと「暮らす」ことのバランスミスによる失敗例を紹介します。
クリアビューデザインで外から丸見え
| 失敗内容 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 夜間に室内が丸見え | 大開口サッシの採用 | 外構で目隠しを作る |
| 夏場の日差しが暑い | 遮熱対策不足 | 深い軒(のき)を設ける |
天井までの大開口サッシ「クリアビューデザイン」は、圧倒的な開放感をもたらしますが、それは同時に「外からの視線も通りやすくなる」ことを意味します。特に夜間、室内照明をつけると中は丸見えになり、結局一日中カーテンを閉め切って生活しているという家庭も少なくありません。
道路や隣家からの視線を遮るためには、窓ガラスの性能に頼るだけでなく、外構(フェンスや植栽)での目隠し計画をセットで考える必要があります。また、直射日光による室温上昇も深刻な問題になるため、深い軒(のき)を出して日差しをコントロールする設計が必須となります。
吹き抜け・リビング階段の音とニオイ問題
| 失敗内容 | デメリット | 対策 |
|---|---|---|
| テレビの音が2階に響く | 受験生の勉強の妨げ | 階段前に扉を設置 |
| 料理のニオイが充満 | 2階ホールまで臭う | 高機能換気扇の採用 |
LDKに吹き抜けやリビング階段を設けると、家族の気配を感じられるメリットがある反面、音とニオイが家中に筒抜けになるという大きなデメリットが生じます。「1階で見ているテレビの音がうるさくて2階で眠れない」「魚を焼くと2階の寝室までニオイが上がる」といった不満は後を絶ちません。
特に積水ハウスの家は気密性が高いため、音が響きやすい傾向にあります。対策として、階段の登り口に引き戸やロールスクリーンを設置して音や空気を遮断できるようにするか、2階の各部屋のドアを防音仕様にするなどの工夫が必要です。
ピットリビングの段差でつまずく
床を一段下げるピットリビングは、おしゃれで「おこもり感」があると人気ですが、バリアフリーとは逆行する設計です。若いうちは良くても、年を取った時や怪我をした時に大きな障害となります。また、乳幼児がいる家庭では転落事故のリスクがあり、目が離せないという悩みも聞かれます。
さらに盲点なのが、お掃除ロボット(ルンバなど)が段差を超えられない点です。リビング全体を自動掃除できないため、ピット部分は手動で掃除機をかける手間が発生します。デザイン性だけでなく、将来的なライフスタイルの変化やメンテナンス性も考慮して採用を決めるべきです。
毎日のストレス直結!動線と収納の失敗

モデルハウスのような美しい間取りも、洗濯物が溢れ、物が散乱しては台無しです。生活感が出ることを前提とした動線計画や収納設計ができていないと、片付かない家になってしまいます。ここでは、機能性を追求したはずが裏目に出た失敗例を見ていきます。
回遊動線を作りすぎて壁がなくなる
| 失敗内容 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 家具を置く場所がない | ドアや通路が多すぎる | 行き止まり動線の活用 |
| スイッチの位置に困る | 壁面積の不足 | 家具配置のシミュレーション |
「キッチンから洗面所へ」「玄関からパントリーへ」と、ぐるぐると回れる回遊動線は便利ですが、通路を確保するために壁が減るという弊害があります。結果として、カップボードや収納棚を置く壁がなくなり、収納力が低下したり、照明スイッチやコンセントを設置する場所に困ったりする事態に陥ります。
また、通路部分には物を置けないため、実質的な有効床面積も減少します。本当にその回遊動線が必要か、あるいは「行き止まり」でも生活に支障がないかを冷静に判断することが、収納力と家具配置の自由度を確保する鍵となります。
ランドリールームの通風・乾燥対策不足
室内干し専用のランドリールームを作ったものの、「洗濯物が乾かない」「湿気がこもってカビ臭い」という失敗例も多いです。窓を開けて通風を確保する設計でも、雨の日や花粉の季節は窓を開けられません。換気扇一つでは除湿能力が不足することが多々あります。
ランドリールームを成功させるには、サーキュレーターや除湿機を常設するためのコンセント位置計画や、浴室乾燥機との連携が不可欠です。単に「干す場所」を作るのではなく、「乾かすための空調計画」までセットで考える必要があります。
玄関近くのトイレによる音漏れ
帰宅後すぐに使えるようにと玄関ホール付近にトイレを設置する間取りは一般的ですが、リビングとの距離が近い場合、使用音がリビングに聞こえてしまうという気まずい失敗があります。特に積水ハウスの建具(ドア)は下に隙間があるアンダーカット仕様が多いため、遮音性はそれほど高くありません。
来客時にトイレを使いづらいという状況を避けるためには、トイレとリビングの間に一枚廊下を挟むか、収納スペースを緩衝材として配置し、直接壁が接しないようにする配置テクニックが有効です。
収納計画の甘さ(奥行きと可動棚)
収納は「量」よりも「質」と「場所」が重要です。失敗例として多いのが、奥行きがありすぎる収納です。布団をしまうには良いですが、小物や書類をしまうには奥が深すぎて使いにくく、手前しか使わないデッドスペースになりがちです。
逆に、掃除機(特にスティック型)を収納しようとしたら高さが足りない、充電用コンセントがないといった失敗もあります。何をどこにしまうかを具体的にリストアップし、可動棚を採用して柔軟に変更できるようにしておくことが、長く使える収納の秘訣です。
よくある質問
- 間取りの失敗を防ぐ一番の方法は何ですか?
-
「家具が入った状態の図面」で生活シミュレーションをすることです。図面に主要な家具(ソファ、ベッド、ダイニングセット)を縮尺通りに書き込み、人が通れる幅があるか、扉と干渉しないかを確認すると、失敗の多くを未然に防げます。
- 積水ハウスの設計士さんに変更をお願いしにくいです。
-
遠慮は禁物です。一生に一度の買い物ですから、納得いくまで修正を依頼しましょう。「なぜ変更したいか(例:寒さが心配だから)」という理由を明確に伝えると、プロとしてより良い代替案を出してくれるはずです。
- 尺モジュールに変更することはできますか?
-
積水ハウスでも商品や工法によっては尺モジュール対応が可能な場合がありますが、基本的にはメーターモジュールが標準です。土地の形状や広さ的に尺モジュールの方が有利な場合は、他社も含めて検討するか、設計担当者に相談してみてください。
まとめ
積水ハウスの間取りでよくある失敗10選を紹介しました。これらは積水ハウスの性能が低いから起きるのではなく、その特徴(広さ、開放感、自由度)を生活スタイルに上手く落とし込めなかった時に発生するミスマッチです。メリットの裏にあるデメリットを理解し、対策を講じることで、理想の住まいは確実に実現できます。
記事の要点まとめ
- メーターモジュールの広さは廊下を減らす工夫で有効活用する
- 大開口や吹き抜けは「外構の目隠し」「音・ニオイ対策」とセットで考える
- 回遊動線は壁がなくなるデメリットを考慮し、収納計画とバランスを取る
- 図面に家具を書き込み、具体的な生活動線をシミュレーションする
