積水ハウスで家づくりを検討する際、「デザインは素敵だけれど、冬は寒いのではないか」「断熱性能は本当に十分なのか」と不安を感じる方は少なくありません。
特に、鉄骨造の「イズ」シリーズと木造の「シャーウッド」では、構造的な違いから断熱のアプローチが異なり、どちらを選ぶべきか迷うポイントです。
住宅の断熱性能は、住み心地だけでなく、光熱費や家族の健康にも直結する重要な要素です。後悔のない選択をするためには、カタログスペックだけでなく、実生活に基づいた仕様選びが欠かせません。
この記事でわかること
- 積水ハウスの標準的な断熱性能とUA値の実力
- 鉄骨(イズ)と木造(シャーウッド)の断熱構造の違い
- 快適性を高めるための窓や断熱材の推奨仕様
- 気密性(C値)の傾向と実際の住み心地を高める工夫
積水ハウスの断熱性能は寒い?標準仕様の実力とUA値
大手ハウスメーカーである積水ハウスは、断熱性能に関しても独自の技術を展開していますが、SNSや口コミでは「寒い」という意見も散見されます。なぜ評価が分かれるのか、その背景には標準仕様の設定と、断熱に対する考え方の違いがあります。
現在の積水ハウスが提供する標準的な断熱性能は、国の定める省エネ基準を十分にクリアしており、決して低い数値ではありません。しかし、超高断熱を売りにする一部のメーカーと比較すると、数値上のスペックで見劣りする場合があるのも事実です。
「ぐるりん断熱」の特徴と仕組み
積水ハウスの断熱技術の核となるのが「ぐるりん断熱」です。これは、床・壁・天井を隙間なく断熱材で包み込む工法のことで、熱の出入りを最小限に抑えることを目的としています。
それぞれの部位に使用される断熱材の種類と特徴を整理しました。
| 施工部位 | 主な断熱材 | 特徴 |
|---|---|---|
| 壁・天井 | 高性能グラスウール | コストパフォーマンスに優れ不燃性が高い |
| 床下 | ポリスチレンフォーム | 湿気に強く経年劣化が少ない |
| 開口部 | アルミ樹脂複合サッシなど | 断熱性と強度のバランスを重視 |
特筆すべきは、断熱材そのものの性能だけでなく、施工品質を均一化するための工夫が凝らされている点です。工場生産比率を高めることで、現場施工による断熱欠損(隙間)のリスクを低減しています。しかし、標準仕様の断熱材の厚みは地域区分によって異なり、寒冷地以外では「そこそこ」のスペックに留まることもあります。
鉄骨(イズ)と木造(シャーウッド)の断熱性の違い
積水ハウスを選ぶ際、構造による断熱性の違いを理解しておくことが重要です。一般的に、鉄は木の数百倍も熱を伝えやすいため、鉄骨造は断熱面で不利と言われます。
鉄骨造の「イズ」シリーズでは、鉄骨柱が外気の影響を受けて室内に熱を伝えてしまう「ヒートブリッジ(熱橋)」現象への対策が必須です。積水ハウスでは、鉄骨の内側に断熱補強を行うことでこの問題を抑制していますが、物理的な特性上、木造に比べると冬場の壁際の冷たさを感じやすい傾向にあります。
一方、木造の「シャーウッド」は、構造材である木そのものが断熱性を持つため、ヒートブリッジのリスクが低く、温熱環境を作りやすいのが特徴です。数値上のUA値が同じであっても、体感温度ではシャーウッドの方が暖かく感じられるケースが多いでしょう。
公表されているUA値とZEH基準への対応
住宅の断熱性能を表す指標としてUA値(外皮平均熱貫流率)が用いられます。積水ハウスの住宅は、標準仕様で概ねUA値0.6以下を達成しており、これはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たす水準です。
しかし、近年注目されている「HEAT20 G2」グレード(6地域でUA値0.46など)と比較すると、標準仕様のままでは届かない場合があります。高断熱を重視するユーザーにとっては、標準仕様では物足りなさを感じる可能性があるため、より上位の断熱仕様への変更を検討する必要があります。
シャーウッド(木造)とイズ(鉄骨)の断熱仕様を徹底比較

同じメーカーであっても、構造が違えば断熱のアプローチは全く異なります。シャーウッドとイズ、それぞれの断熱仕様の詳細と、構造特性からくるメリット・デメリットを深掘りします。
どちらの構造を選ぶかによって、将来的な冷暖房効率や快適性が大きく変わるため、デザインの好みだけで決めるのではなく、性能面での特性を把握した上で判断することが大切です。
シャーウッドの断熱材と施工方法
シャーウッドでは、壁の中に断熱材を充填する「充填断熱」が基本です。使用されるグラスウールは密度が高く、施工マニュアルに基づき隙間なく詰め込まれます。
木造ならではの特徴として、柱や梁の間に断熱材をたっぷりと入れるスペースが確保しやすい点が挙げられます。また、天井裏の断熱材も厚く施工しやすく、夏場の屋根からの熱気遮断にも効果的です。
- 構造材自体が断熱性を持つ
- 壁体内結露のリスクが鉄骨より低い
- 気密施工が比較的しやすい
イズ・ロイエなど鉄骨造の熱橋対策
鉄骨住宅の最大の課題は、先述したヒートブリッジです。積水ハウスの鉄骨住宅では、これを防ぐために「熱絶縁樹脂サッシ枠」や「柱部分の断熱補強」を標準的に採用しています。
それでも、外気温が極端に下がる冬の朝などは、壁際や窓際で冷気を感じることがあります。これを補うために、鉄骨造では基礎断熱や床下断熱を強化し、足元からの冷え込みを防ぐ設計がなされています。鉄骨の頑丈さと大開口の窓を両立できる反面、断熱性能を確保するためには木造以上に細部への配慮が求められます。
どちらが暖かい?構造特性から見るメリット・デメリット
「暖かさ」という観点だけで比較すると、軍配はシャーウッドに上がります。木造は蓄熱性が適度にあり、急激な温度変化が起きにくいためです。
両者の断熱性に関する比較をまとめました。
| 比較項目 | シャーウッド(木造) | イズ(鉄骨) |
|---|---|---|
| 断熱性 | 構造的に有利 | 熱橋対策が必須 |
| 気密性 | 確保しやすい | やや不利な傾向 |
| 窓の自由度 | 耐震性との兼ね合いあり | 大開口が得意 |
| 蓄熱性 | 穏やかに変化 | 外気の影響を受けやすい |
イズシリーズを選ぶ場合は、標準仕様よりもワンランク上の断熱仕様を採用するか、床暖房などの設備で熱源を確保することが、快適な住環境を実現する鍵となります。
後悔しないための断熱仕様グレードの選び方

積水ハウスで家を建てる際、最も悩ましいのが「どこまで仕様を上げるか」という問題です。予算には限りがありますが、断熱性能は後からリフォームで変更するのが非常に困難な部分です。
ここでは、費用対効果を考えた賢い仕様選びのポイントを解説します。過剰なスペックは不要ですが、住んでからの快適性を損なわないための最低ラインを見極めることが重要です。
標準仕様で十分か?グレードアップが必要なケース
温暖な地域(6地域・7地域など)であれば、標準仕様でも生活に支障が出るほどの寒さは感じにくいでしょう。しかし、「冬場も薄着で過ごしたい」「部屋間の温度差をなくしたい」という要望があるなら、グレードアップを推奨します。
具体的には、「プレミアム断熱」や「ハイグレード断熱」といった名称で用意されている上位仕様を検討してください。これにより、断熱材の厚みが増し、窓の性能が向上します。特に吹き抜けやリビング階段を採用する場合は、暖かい空気が逃げやすいため、断熱強化が欠かせません。
窓・サッシの選び方(AJサッシ・樹脂サッシ・トリプルガラス)
住宅の熱の出入りの大部分は「窓」から発生します。壁の断熱材を厚くするよりも、窓のグレードを上げる方が、体感温度への効果は高いと言われます。
積水ハウスでは、標準で「アルミ樹脂複合サッシ」が採用されることが多いですが、より高い断熱性を求めるなら以下の選択肢を検討してください。
- オール樹脂サッシへの変更
- トリプルガラス(3層ガラス)の採用
- ガス入り(アルゴンガス・クリプトンガス)ガラスの選択
特に寒冷地でなくても、北側の窓や大きな掃き出し窓だけでもグレードアップすることで、コールドドラフト現象(窓辺で冷やされた空気が床に流れる現象)を大幅に軽減できます。
気密性(C値)への理解と対策
断熱性能(UA値)と並んで重要なのが、家の隙間の大きさを示す「気密性(C値)」です。残念ながら、積水ハウスを含む大手鉄骨メーカーは、気密性能に関しては数値を公表していないか、あまり重視していない傾向にあります。
鉄骨造は構造上、どうしても隙間ができやすいため、C値1.0以下などの高気密を目指すのは難しいのが現実です。気密性が低いと、せっかく暖めた空気が逃げやすくなり、計画換気も機能しにくくなります。
対策としては、施工時に「気密施工を丁寧にお願いします」と現場監督に伝えることや、コンセントボックス周りの気密処理を確認することなどが挙げられますが、劇的な改善は期待しにくい部分であることを理解しておく必要があります。
実際の住み心地と冷暖房効率を高めるポイント

スペック上の数値だけでなく、実際に住んでみて「快適だ」と感じられるかどうかが家づくりのゴールです。断熱性能の限界を理解した上で、設備や間取りの工夫で補うことが可能です。
積水ハウスの提案力を活かしつつ、温熱環境を最適化するための具体的なアイデアを紹介します。
床暖房や全館空調(エアキスなど)との相性
足元の冷え対策として、床暖房は非常に有効です。特に鉄骨造のイズシリーズを選ぶ場合は、LDKへの床暖房導入を強く推奨します。輻射熱で部屋全体をじんわりと暖めるため、体感温度が上がり、断熱性の弱点をカバーできます。
また、積水ハウスの空気環境配慮仕様「エアキス」や全館空調システムを導入することで、家中の温度差を均一に保つことが可能です。初期費用はかかりますが、ヒートショックのリスクを低減し、一年中快適な室温を維持できるメリットは計り知れません。
間取りによる温度差の解消テクニック
断熱性能に不安がある場合、間取りの工夫で寒さを感じにくくすることができます。例えば、玄関とリビングの間に扉を設けて冷気を遮断する、階段前にロールスクリーンを設置できるように下地を入れておくなどの対策が有効です。
間取りで考慮すべきポイントを整理しました。
| 場所 | 対策例 | 効果 |
|---|---|---|
| 玄関ホール | リビングとの仕切り扉 | 冷気の侵入防止 |
| リビング階段 | 引戸やスクリーンの設置 | 暖気の流出抑制 |
| 浴室・脱衣所 | 暖房換気乾燥機の採用 | ヒートショック対策 |
南面の窓を大きく取り、冬の日射取得を増やす「パッシブデザイン」の考え方を取り入れるのも良いでしょう。自然のエネルギーを上手く利用することで、暖房負荷を下げつつ、明るく暖かい空間を実現できます。
よくある質問
- 積水ハウスのUA値はどのくらいですか?
-
標準仕様で概ね0.6以下(ZEH基準相当)です。仕様変更により、0.46(HEAT20 G2相当)など、より高性能な数値を目指すことも可能です。
- シャーウッドとイズ、断熱性能が高いのはどっち?
-
構造的に熱を伝えにくい木造のシャーウッドの方が有利です。鉄骨のイズは熱橋対策が必要なため、同じ断熱材の厚さでも体感的な暖かさは木造に分があります。
- 断熱仕様のグレードアップ費用はいくらくらいですか?
-
建物の大きさや変更内容によりますが、数十万円から100万円程度が目安です。窓サッシの変更が費用に大きく影響します。
まとめ
積水ハウスの断熱性能について、シャーウッドとイズの違いや仕様選びのポイントを解説しました。
標準仕様でも現代の基準を満たす性能は持っていますが、「冬の寒さが苦手」「光熱費を抑えたい」と考えるなら、積極的な仕様検討が必要です。
- 積水ハウスの標準UA値はZEH基準相当で、極端に低くはない
- 断熱性を最優先するなら、構造的に有利なシャーウッド(木造)がおすすめ
- 鉄骨(イズ)を選ぶ場合は、床暖房や断熱グレードアップでの対策が必須
- 窓の性能(樹脂サッシ・トリプルガラス)にお金をかけるのが最も効果的
デザインやブランド力だけでなく、見えない「快適性」の部分にもしっかりと目を向けることで、長く満足して暮らせる住まいが実現します。営業担当者とよく相談し、納得のいく仕様を選定してください。
