積水ハウスの3階建て費用相場と坪単価は？メリット・デメリット、商品ラインナップを解説

都市部の限られた土地でも、広々とした居住スペースを確保できる「3階建て住宅」は、二世帯住宅や店舗併用住宅を検討する方にとって魅力的な選択肢です。特に積水ハウスのような大手ハウスメーカーなら、耐震性やデザイン性への信頼感も抜群でしょう。

しかし、3階建ては2階建てに比べて建築コストが高くなりやすく、構造上の制約や生活動線の難しさなど、特有のハードルも存在します。「予算内で建つのか」「老後の生活は大丈夫か」といった不安を感じている方も多いはずです。

後悔のない家づくりを実現するために、積水ハウスの3階建て商品の特徴やリアルな費用相場、そして事前に知っておくべきメリット・デメリットを詳しく解説します。

この記事でわかること

積水ハウス3階建ての費用相場と坪単価

まず気になるのがお金の話です。積水ハウスで3階建てを建てる場合、一般的な2階建てよりも割高になる傾向があります。その理由と具体的な金額の目安を見ていきます。

坪単価は90万〜130万円が目安

積水ハウスの3階建て住宅の坪単価は、90万円〜130万円程度がボリュームゾーンです。例えば延床面積40坪の家を建てる場合、建物本体価格だけで3,600万〜5,200万円前後が必要になります。

ここに地盤改良費、屋外給排水工事、設計料、諸費用などが加算されるため、総額ではさらに予算を見積もっておく必要があります。特に都市部の防火地域などで建てる場合は、窓や外壁に耐火性能の高い部材を使用しなければならず、坪単価がさらに上昇する要因となります。

なぜ3階建ては高くなるのか

3階建てが高額になる主な理由は「構造計算」と「構造強化」にコストがかかるためです。高さがある分、地震や風の影響を受けやすくなるため、より強固な柱や梁、基礎が必要になります。

また、積水ハウスではエレベーターを設置するケースも多く、その本体価格（約300万〜500万円）や設置工事費も総額を押し上げる要因です。狭小地での工事では、大型重機が入れずに手作業が増えたり、交通整理員が必要になったりと、建築費以外の「付帯工事費」が割高になることも珍しくありません。

積水ハウスで建てるメリット・デメリット

コストはかかりますが、それを補って余りあるメリットが積水ハウスの3階建てにはあります。一方で、生活スタイルによってはデメリットが目立つこともあるため、両面をしっかり比較検討することが重要です。

土地のポテンシャルを最大化できる

最大のメリットは、土地を有効活用できる点です。1階をガレージや店舗、2階・3階を居住スペースにすることで、狭い土地でも「駐車場＋4LDK」といったゆとりある間取りが実現します。また、高さが出るため、3階リビングからの眺望や採光が抜群に良くなり、周囲の視線を気にせず暮らせるプライバシー性の高さも魅力です。

上下移動の負担と温熱環境の課題

デメリットはやはり「階段」です。洗濯物を干すために1階から3階へ移動するなど、家事動線が縦に長くなり、若いうちは良くても高齢になると負担が増します。また、暖かい空気は上へ逃げるため、3階が夏場に暑くなりやすく、1階は冬場に冷え込みやすいという温度差の問題も発生します。

比較項目	メリット	デメリット
土地活用	狭小地でも床面積を確保できる	斜線制限などで天井高に制限が出る場合も
居住環境	日当たり・眺望・通風が良い	上下階の移動が多く家事が大変
性能面	耐震性が高く安心感がある	夏は3階が暑くなりやすい
コスト	土地代を抑えられる（狭小地）	建築費・足場代などの維持費が高い

これらのデメリットを解消するためには、ホームエレベーターの導入や、全館空調システム、高断熱仕様の検討が不可欠です。

商品ラインナップ：鉄骨「ビエナ」と木造「シャーウッド」

積水ハウスには、鉄骨造と木造、2つの3階建て主力商品があります。それぞれの特徴を理解し、自分の好みや敷地条件に合った工法を選ぶことが成功への第一歩です。

自由自在な空間づくり「重量鉄骨 ビエナ」

積水ハウスの鉄骨3・4階建ての代表格が「ビエナ（BIENA）」です。独自開発の「βシステム構法」を採用しており、通し柱が不要なため、各階で柱の位置を自由に変えることができます。

これにより、コーナーサッシ（角窓）やオーバーハング（下の階より上の階が張り出す形状）など、デザイン性の高い外観が可能です。耐震性が非常に高く、大開口リビングを実現したい方や、1階をビルトインガレージにしたい方に最適です。

木の温もりと強さを両立「シャーウッド」

木造でありながら3階建てに対応するのが「シャーウッド（Shawood）」です。鉄骨に比べて設計の自由度はやや制限される場合がありますが、木の持つ断熱性や調湿効果により、快適な住環境を作りやすいのが特徴です。

また、基礎のコンクリートに直接木材が触れない独自の金物工法を採用しており、耐久性も抜群。鉄骨特有の硬質な雰囲気が苦手な方や、木の質感を楽しみたい方におすすめです。都市部の防火地域でも建築可能な耐火仕様も用意されています。

どちらを選ぶべきか迷った際は、敷地の形状や希望する窓の大きさなどを営業担当に伝え、両方のプランを提案してもらうのも一つの手です。

よくある後悔ポイントと対策

3階建てを建ててから「失敗した」と感じやすいポイントには共通点があります。先人の失敗談から学び、設計段階で対策を盛り込んでおきましょう。

3階の暑さとWi-Fiの繋がりにくさ

屋根に近い3階は、夏場に熱がこもりやすく、エアコンが効きにくいという声が多く聞かれます。対策として、屋根の断熱材を厚くする、遮熱タイプの窓ガラスを採用する、小屋裏換気を強化するなどが有効です。

また、鉄骨造や断熱材の影響でWi-Fiの電波が階をまたぐと弱くなることがあります。設計段階でLAN配線を各階に引いておくか、メッシュWi-Fiの導入を前提としたコンセント配置を計画しておきましょう。

家具搬入トラブルと振動問題

意外と多いのが「冷蔵庫やソファが階段を通らない」というトラブルです。3階建ての階段はスペース節約のために幅が狭くなりがちです。大型家具の搬入経路を確保するか、クレーンでの吊り上げ搬入（別料金）が可能かを確認しておく必要があります。

さらに、幹線道路沿いなどの場合、大型車が通ると家が揺れることがあります。積水ハウスの制震装置「シーカス」などは揺れを軽減してくれますが、地盤調査の結果に基づき、必要であれば地盤改良をしっかりと行うことが重要です。

よくある質問

3階建てにホームエレベーターは必須ですか？

必須ではありませんが、老後の居住性を考えると設置を推奨します。設置しない場合でも、将来設置できるようにスペース（収納として利用しておく）と電源を確保しておく「将来対応プラン」にしておくと安心です。設置費用は300万〜500万円程度見ておく必要があります。

メンテナンス費用は2階建てより高いですか？

はい、高くなる傾向があります。外壁塗装やシーリングの打ち替えをする際、足場を高く組む必要があるため、足場代が割高になります。積水ハウスの陶版外壁「ベルバーン」などの高耐久外壁を採用することで、メンテナンスサイクルを長くし、トータルコストを抑える工夫が有効です。

狭い土地でも明るい家になりますか？

3階建ての強みを活かし、2階や3階にLDKを配置することで、周囲の建物の影になりにくく、明るい空間を作れます。また、吹き抜けや天窓（トップライト）、スケルトン階段などを組み合わせることで、光を下の階まで届ける工夫も可能です。

まとめ

積水ハウスの3階建て住宅について、費用相場やメリット・デメリットを解説してきました。

坪単価は高めですが、都市部の利便性の高い土地を最大限に活用でき、資産価値の高い住まいを実現できる点は大きな魅力です。鉄骨・木造それぞれの特性を理解し、断熱対策や動線計画を綿密に行うことで、快適な3階建てライフを手に入れることができます。

「階段が辛い」「夏暑い」といった後悔を防ぐためにも、ホームエレベーターの検討や断熱グレードの確認をしっかり行い、長く安心して住める家づくりを目指してください。