「せっかく積水ハウスで建てるなら、最高性能の窓を入れたい」
「でも、標準仕様でも十分高性能って聞くし、数十万円の追加費用は痛い…」
窓の仕様決定は、見積もりの最終段階で予算調整の対象になりがちなポイントです。しかし、住み始めてから「窓際が寒い」「結露した」と後悔しても、窓の交換は容易ではありません。積水ハウスの標準である「SAJサッシ(超高断熱アルミ樹脂複合サッシ)」は確かに優秀ですが、トリプルサッシ(トリプルガラス)にアップグレードすることで得られるメリットは、単なる数値以上の「体感温度」に現れます。
この記事でわかること
- 標準「SAJサッシ(複層)」と「トリプルサッシ」の断熱性能差
- 30〜40坪の家でトリプルにする場合のリアルな追加費用(差額)
- トリプルサッシを採用すべき「地域」と「間取り」の条件
- 意外なデメリット:窓の「重さ」と「操作性」について
積水ハウスの標準「SAJサッシ」vs「トリプルサッシ」
まず、比較対象となる2つのサッシ(窓)のスペックを整理しましょう。積水ハウスは「アルミ樹脂複合サッシ」を主力としています。
標準仕様:SAJサッシ(遮熱断熱複層ガラス)
積水ハウスの一般地(寒冷地以外)での標準仕様です。一般的なアルミ樹脂複合サッシよりも断熱材をフレーム内に充填するなどの工夫がされており、断熱性能は約1.4倍高いとされています。
- 構造:アルミ(外側)+樹脂(室内側)の複合サッシ
- ガラス:Low-E複層ガラス(2枚ガラス)+アルゴンガス封入
- 特徴:フレームがスリムでデザイン性が高い。断熱性は「そこそこ良い」レベル。
アップグレード:SAJサッシ(薄板トリプルガラス)など
オプションで選べるのが、ガラスを3枚にしたトリプルガラス仕様です。また、地域や商品によっては樹脂サッシ(AJサッシの樹脂版やYKK APなどのOEM)が提案されることもあります。
- 構造:アルミ樹脂複合 または オール樹脂
- ガラス:トリプルガラス(3枚ガラス)+アルゴンガス(またはクリプトンガス)
- 特徴:圧倒的な断熱性能。窓際のスースーする冷気(コールドドラフト)が激減する。
トリプルサッシにする費用の差額は?

最も気になるのがコストです。家の大きさや窓の数によりますが、一般的な延床面積30坪〜40坪の戸建て住宅の場合、家中の窓をすべてトリプルサッシに変更すると、おおよそ以下の追加費用がかかります。
| 全体費用の増額目安 | 約30万円 〜 50万円 |
| 坪単価換算 | 坪あたり +1.0万 〜 1.5万円 |
「思ったより安い」と感じるか「高い」と感じるかは人それぞれですが、住宅ローン(35年)で換算すれば月々1,000円〜1,500円程度の差です。この金額で「冬の寒さ」と「結露リスク」を永続的に軽減できるなら、コストパフォーマンスは非常に高いと言えます。
トリプルサッシは本当に必要?判断する3つの基準

「全ての人がトリプルにするべき」とは言いません。以下の条件に当てはまる場合は、導入を強くおすすめします。
1. 「大開口サッシ(天井高窓)」を採用する場合
積水ハウスの魅力である「クリアビューデザイン」や「スローリビング」を採用し、床から天井までの巨大な窓や、幅の広い窓を設置する場合、トリプルサッシは必須級です。
ガラス面積が大きくなればなるほど、そこから熱が逃げやすくなります。リビングの大開口のそばにソファを置く場合、ペアガラスでは冬場に冷気が降りてくるのを感じやすく、快適性が損なわれます。
2. 冬の最低気温が0度を下回る地域
北海道や東北などの寒冷地(1〜3地域)では標準でトリプルや樹脂サッシになりますが、関東以西の6地域(東京・大阪など)でも、冬の朝晩は氷点下になることがあります。「朝起きた時にLDKが寒いのが嫌だ」「ヒートショックが心配」という方は、温暖地であってもトリプルを入れる価値があります。
3. 吹き抜けがある間取り
吹き抜けは空間を広く見せますが、暖房効率は下がります。暖かい空気は上昇し、窓で冷やされた空気は下降します。この空気の対流を抑えるためにも、窓の断熱性能を上げて、家全体の魔法瓶効果を高めることが重要です。
採用前に知っておくべきトリプルサッシのデメリット

性能は良いことづくめに見えますが、物理的なデメリットも存在します。
- 窓が重くなる:ガラスが3枚になるため、掃き出し窓などの大きな窓はかなり重くなります。高齢になった時や、子供が開け閉めする際に負担に感じることがあります。(※積水ハウスの取っ手はテコの原理で開けやすいアシスト機能付きが多いですが、それでも重さは感じます)
- 網戸の色味が変わることも:サッシの種類によっては、網戸の仕様が変わったり、ガラスの色味が濃くなって外の景色が少し青みがかって見えたりすることがあります。
よくある質問
- 標準のSAJサッシ(ペアガラス)だと結露しますか?
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「全くしない」とは言い切れません。SAJサッシは一般的な住宅より高性能ですが、加湿器をガンガン使ったり、カーテンを閉め切ったりした状態で外気が氷点下になると、ガラスの隅やサッシ枠(アルミ部分)にうっすら結露が生じることがあります。トリプルサッシ(特に樹脂枠タイプ)にすれば、このリスクは限りなくゼロに近づきます。
- 北側の窓だけトリプルにするのはアリですか?
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非常に賢い選択です。日が当たらない北側の窓や、お風呂・脱衣所の窓だけをトリプル(または樹脂サッシ)に変更し、日当たりの良い南側はペアガラスにするという「使い分け」で、コストを抑えつつ弱点を補強することができます。
- 防音性能はトリプルの方が高いですか?
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一概にそうとは言えません。ガラスの枚数が増えれば遮音性は上がりますが、特定の周波数で共鳴して音が通過しやすくなる現象(コインシデンス効果)も考慮する必要があります。防音目的であれば、トリプルにするよりも「異厚複層ガラス(厚みの違うガラスを組み合わせたペアガラス)」を選んだ方が効果的な場合があります。
まとめ
積水ハウスで建てる場合、以下の基準で選ぶのが後悔しないポイントです。
- 予算に余裕がある・大開口リビングがある:迷わず「トリプルサッシ」を採用。満足度が違います。
- 温暖地で予算を抑えたい:標準の「SAJサッシ(ペア)」で十分。ただし、寝室や北側の窓だけグレードアップを検討する。
断熱性能は、後からリフォームで上げるのが最も難しい部分です。キッチンやトイレのグレードを一つ落としてでも、窓にお金をかける価値は十分にあります。
