「バリアフリー住宅」と聞くと、手すりだらけの廊下や、病院のような無機質な空間をイメージしていませんか?
積水ハウスが提案するのは、そうした従来のイメージを覆す「スマート ユニバーサルデザイン(Smart UD)」です。これは、「高齢者や障害者のためだけの特別な設備」ではなく、「子供から大人まで、誰にとっても使いやすく、かつデザインも美しい」という考え方に基づいています。
将来、車椅子生活になってもリフォームなしで暮らせるか? 親との同居が始まっても快適か? 積水ハウスならではの設計寸法や、隠れた工夫について解説します。
この記事でわかること
- 積水ハウスの独自基準「スマートUD」の核心
- 車椅子も余裕?「メーターモジュール」が生む廊下幅の違い
- 玄関ベンチや引き戸など、採用すべき具体的オプション
- 後からエレベーターを設置するための「将来設計」の裏技
積水ハウスの「スマートUD」とは?
積水ハウスのバリアフリー設計の根幹にあるのが「スマート ユニバーサルデザイン」です。これは単に段差をなくすだけでなく、「直感的な使いやすさ」と「空間の美しさ」を両立させるデザインコードです。
例えば、手すり一つとっても、握りやすさを追求した楕円形を採用しつつ、ブラケット(金具)を目立たなくしてインテリアに馴染ませます。「介護用に見えないけれど、実は介護しやすい」というバランスが、資産価値の高い家づくりにつながります。
「メーターモジュール」が叶える余裕の廊下幅

バリアフリー設計で最も重要なのが「廊下の幅」です。一般的な日本家屋(尺モジュール)と積水ハウス(メーターモジュール基準 ※商品による)では、人が通れる有効幅に決定的な差が出ます。
| モジュール | 柱の芯々距離 | 廊下の有効幅(目安) | 車椅子の通りやすさ |
|---|---|---|---|
| 尺モジュール (一般的) | 910mm | 約78cm | ギリギリ通れるが、 手は擦りそうで怖い |
| メーターモジュール (積水ハウス等) | 1000mm | 約87cm〜90cm | 余裕を持って通れる。 介助者も横に立てる。 |
この「約10cm」の差が生活を変えます。有効幅が85cm以上あれば、自走式車椅子でも旋回しやすく、壁に手をぶつける心配が激減します。また、手すりを設置しても狭さを感じにくいため、将来を見越すならメーターモジュール採用のメリットは非常に大きいです。
場所別:採用すべきバリアフリー設計のポイント

積水ハウスで建てるならぜひ検討したい、具体的な設計ポイントを紹介します。
1. 玄関:オリジナル「玄関ベンチ」とフラット土間
積水ハウスのオーナーに大人気なのが、壁付けの折りたたみ式「玄関ベンチ」です。普段は壁にスッキリ収納でき、靴を履く時だけ引き出して座れます。ブーツを履く女性や、膝が悪い高齢者にとって必須級のアイテムです。
また、玄関ホールと土間の段差を極限まで低くしたり、スロープを併設したりする設計も得意です。車椅子から降りずにそのまま室内へ入れる動線は、介護負担を劇的に減らします。
2. 建具:上吊り引き戸とソフトクローザー
開き戸(ドア)は、開閉時に体を前後に移動させる必要があり、車椅子や杖を使用していると非常に不便です。積水ハウスでは、原則として「引き戸(スライディングドア)」を推奨しています。
床にレールがない「上吊りタイプ」なら、床がフラットになりつまずく心配もありません。指を挟まないようゆっくり閉まる「ソフトクローザー」も標準で装備されることが多く、小さな子供がいる家庭でも安全です。
3. トイレ・浴室:見えないバリア「ヒートショック」対策
段差などの「物理的なバリア」以上に危険なのが、部屋ごとの温度差による「温度のバリア」です。積水ハウスの「スマートイクス」や高断熱仕様(ぐるりん断熱)は、廊下や脱衣所とリビングの温度差を小さくし、ヒートショックのリスクを低減します。
トイレは、将来介助者が横に入り込めるよう、幅を広めに(1.5畳程度)取っておくか、タンクレスで手洗いカウンターを別にするレイアウトが推奨されます。
「将来対応」という賢い選択

「今は元気だからエレベーターなんていらない」という方も、30年後はわかりません。積水ハウスでは、新築時にあえて「将来ホームエレベーターを設置できるスペース」を確保する提案があります。
- 1階と2階の同じ位置に収納を作る: 現在は納戸として使い、将来床を抜けばエレベーターシャフトになるように構造補強だけしておく。
- 天井補強をしておく: 将来、寝室に走行リフトなどを設置できるよう、天井下地を補強しておく。
このように、「可変性」を持たせておくことこそが、本当の意味でのバリアフリー設計と言えます。
よくある質問
- バリアフリーにすると建築費用は高くなりますか?
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廊下を広くしたり、引き戸を多用したりすると、壁面積や建具コストが増えるため、若干割高になる傾向はあります。しかし、後からリフォームで壁を壊して廊下を広げる工事は数百万円単位の費用と仮住まいが必要になるため、新築時に投資しておく方がトータルコストは安く済みます。
- 手すりは最初から全部つけるべきですか?
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玄関や階段、トイレ、浴室といった「転倒リスクが高い場所」は最初から設置をおすすめします。廊下などは、「下地補強」だけ壁の中に入れておき、必要になった時に手すりを後付けするのがスマートです。使わない手すりは邪魔になるだけでなく、インテリアを損なう原因にもなります。
- 木造(シャーウッド)でもメーターモジュールは可能ですか?
-
はい、可能です。シャーウッドは設計自由度が高いため、メーターモジュール基準での設計にも対応しています。ただし、敷地形状によっては尺モジュールの方が納まりが良い場合もあるため、設計士と相談して「必要な場所だけ広くする(ミックスする)」手法も検討できます。
まとめ
積水ハウスのバリアフリー設計は、「いかにも介護用」という雰囲気を排除し、デザイン性の高さと両立させている点が最大の特徴です。メーターモジュールによる余裕のある廊下幅や、将来を見越した構造計画は、永く住み継ぐ家において最強の保険となります。
家づくりにおいては、「今の生活」だけでなく「30年後の生活」を想像し、設計士に「スマートUDの視点を入れてください」とオーダーすることをおすすめします。
