「基礎工事が始まったと思ったら、数日間誰も来ない…工事がストップしているのでは?」
マイホーム建築中、コンクリートを流し込んだ後に現場が静かになる期間があります。これは工事が遅れているのではなく、コンクリートを固めるための重要な「養生(ようじょう)期間」です。
積水ハウスのような大手メーカーは厳格な基準で管理していますが、季節や天候によっては施主自身がチェックすべきポイントもあります。「雨が降っても大丈夫?」「冬場は凍らない?」といった不安を解消するために、基礎養生の正しい知識を解説します。
この記事でわかること
- コンクリートが固まる仕組みと適切な「養生期間」の日数目安
- 「夏」と「冬」で全く異なる基礎管理の注意点
- 雨は「天然の散水養生」?打設中と打設後の雨の決定的な違い
- 立ち上がりコンクリート打設後に施主が確認すべきシートの状態
なぜ「養生期間」が必要なのか?
コンクリートは「乾いて固まる」のではありません。セメントと水が化学反応(水和反応)を起こして、徐々に硬くなっていくのです。この反応を正常に進めるためには、適度な「水分」と「温度」を保ったまま、衝撃を与えずに静置する必要があります。
養生期間の目安(型枠を外すまで)
建築基準法やJASS 5(建築工事標準仕様書)では、コンクリートの強度が出るまで型枠を外してはならない期間(存置期間)が定められています。気温によって必要な日数は異なります。
| 平均気温 | 養生期間の目安(最低日数) | 特徴 |
|---|---|---|
| 15℃以上(春・夏・秋) | 中3日〜5日程度 | 強度が発現しやすい |
| 5℃〜15℃(冬・春先) | 中5日〜8日程度 | 硬化が遅いため長く待つ |
| 5℃未満(真冬) | 強度確認が必要 | 採暖などの対策が必須 |
積水ハウスの場合、社内基準でこれよりも厳しい管理を行っているケースが多く、コンクリートの「呼び強度(設計強度より高めの強度)」を季節ごとに調整することで、品質を担保しています。
季節ごとの注意点と施主チェックポイント
コンクリートにとって「急激な乾燥」と「凍結」は大敵です。夏と冬では気をつけるべきポイントが正反対になります。
【夏】急激な乾燥による「ひび割れ」を防ぐ
夏場の直射日光でコンクリートの水分が急速に蒸発すると、化学反応に必要な水が足りなくなり、表面に「ひび割れ(クラック)」が発生しやすくなります。これを防ぐために、打設後に水を撒く「散水養生」を行ったり、シートで覆って保湿したりすることが重要です。
【冬】水分が凍ることによる「強度低下」を防ぐ
気温が氷点下になると、コンクリート中の水分が凍ってしまい、強度がスカスカになる「初期凍害」のリスクがあります。冬場の工事では、基礎全体をブルーシートですっぽり覆い、必要に応じてジェットヒーター(練炭等は酸欠リスクがあるため現在は電気や灯油ヒーターが主流)で温める「採暖養生」が行われているかを確認しましょう。積水ハウスの現場では、温度管理記録をつけているはずです。
雨の影響:打設中はNG、養生中はOK
最も質問が多いのが「雨」の影響です。タイミングによって評価が180度変わります。
コンクリート打設中(流し込み中)の雨
判定:NG(小雨ならOKの場合も)
生コンクリートを流し込んでいる最中に激しい雨が混ざると、水とセメントの比率(水セメント比)が変わってしまい、強度が低下します。積水ハウスの現場監督は天気予報を厳重にチェックしていますが、ゲリラ豪雨などで打設中に水浸しになった場合は、工事を中断するなどの判断が求められます。
打設終了後〜養生期間中の雨
判定:大歓迎(恵みの雨)
表面が固まり始めた後の雨は、むしろ「天然の散水養生」となり、コンクリートにとって最高の環境です。急激な乾燥を防ぎ、ゆっくりと硬化を促進させてくれます。基礎の中に水が溜まってプール状態になっていても、コンクリートは水中で硬化する性質があるため全く問題ありません。
| タイミング | 雨の影響 | 施主の心構え |
|---|---|---|
| 打設作業中 | 強度低下のリスクあり | 本降りの場合は延期を確認 |
| 打設完了後 | 乾燥防止に効果的 | 「恵みの雨」と喜んでOK |
| 養生期間中 | 最高の湿潤状態 | 水たまりができても心配無用 |
よくある質問(FAQ)
- 基礎の天端(てっぺん)にビニールがかかっているのは何ですか?
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「天端(レベラー)養生」です。基礎の立ち上がり部分の上部は、土台を水平に乗せるために流動性の高いコンクリート(レベラー)が流されています。急激な乾燥や雨で表面が荒れるのを防ぐために、ビニールシートで保護しています。
- 養生期間中に人が乗っても大丈夫ですか?
-
打設翌日には人が歩ける程度に硬化しますが、振動を与えると内部の鉄筋との付着力が弱まる可能性があります。墨出し作業などで職人が乗ることはありますが、基本的に重い資材を置いたり走り回ったりするのは避けるべきです。
- 基礎の表面に小さな気泡があるのですが欠陥ですか?
-
表面の小さな穴は「ピンホール(あばた)」と呼ばれ、空気が抜けた跡です。数ミリ程度のものであれば強度に影響はなく、表面仕上げ(化粧モルタル)できれいになります。大きなジャンカ(砂利が露出している状態)がある場合は補修が必要です。
まとめ
積水ハウスの基礎工事における「養生期間」は、頑丈な家を支えるための「待ち時間」です。何もしていないように見えて、コンクリート内部では重要な化学反応が進んでいます。
施主としては、「養生期間が短すぎないか(特に冬場)」「打設中の大雨は避けているか」の2点に注目しつつ、打設後の雨には「よく降ってくれてありがとう」と余裕を持つことが、精神衛生上も良い家づくりの秘訣です。
